黒猫と二人、過去を想う

階段を登っていたら一匹の黒猫にあった
一匹と一人、過去の世界を思い描く
昔は私以外にも人間が居た


傷付け合うくらいなら、異性なんて居なくなればいいのに
求め合わないくらいなら、同性なんて居なくなればいいのに


そう想いながら眠りについた夜、それが最後だった


眼が覚めると丸いフロアに転がっていた
肌は灰色に変色しており、私は下半身を失っていた


螺旋階段が視えた


登るしか無かった


それ以降、数ヶ月、否、数年だろうか、或いはまだ数日しか経っていないのかもしれない
それ以降、両手で階段を登り続けた
独り、階段を
登り続けた


私はこの黒猫に出会って、何を思ったのだろう
私はこの黒猫に出会うまで、何を思っていたのだろう


この黒猫は半身、機械で出来ている
私とあうべく生まれたのだろう
私は何かを感じなければならないのだ
独りになった悲しみだろうか、違う
独りになれた喜びだろうか、違う


私にはまだ解らない
登ろう、その意味を理解するまで
黒猫と二人で