[mako]
題名:無題

本文:

四角い箱の右端から筒が飛び出ていて、その筒から何かが飛び出ていて、その様しか今の僕には見えない。
僕には本体がないようだ。観察者であれ、という事か。
飛び出た何か。
鉛というか、軼のようなもの。深い蒼。のようであり、燃えている。
一体これは何なのだろう。この空間は一体なにだろう。
僕は意識である。それはわかるが、この空間は何色か。
目に痛いyellowのようであり、かといって真っ黒い。断じて一部色が違うだとか、僕がサングラスをかけているだとか、色が入れ代わっているだとか、そのようなものではない。
一定であるのだけれども、何色でもない。]
思い悩み、けれども何色なのか判明しないうちに天啓を授かった。
移動しよう。何て素晴らしいアイデアなの。
目を閉じる。目なんてないだろう貴様。
目を開くともう飛び出た筒の、以前の僕に全く見えて居なかった側に到達していた。(正確には、左右も見えて居なかった気がしないでもない。)
僕はここで自由に顕れる事が出来る。
ここにしか居ないのかについても思い悩む必要があるように思われた。
秒が垂直に列ぶ恍惚。
眩暈を抑え切れない。
くらり。嗚呼。くらり。
僕に脳は無いのだけど、無い脳を奮わせて稼働させた。
くらくら。床に倒れ伏す。
「わ、解らない。」
苛立ち、とは違う。不満足、である何かの力だ。
床を見た。長い間見ていたらとある物を見つけた。
脆弱な石。
喉から何か出てきた。手か。
手は脆弱な石を取り込むつもりらしい。
止めろ愚か者。
手は止まらない。
止めろ!止めさせてくれ!
ニュルニュル
嗚呼取り込んでしまった。
立ち上がって見渡すと何者かが箱に弾を込めに顕れて居た。
下らない。無意味。見てはいけない。
どのような奴かしら。凝視する。
何かが降って来た。音だ。
例によって何の音なのか判別出来ない。
集中的豪雨のようなnoiseに耐えて凝視を続ける。
それは、黒い、というか光を吸収していて、見れば見る程に人型の影である事が判明していった。
弾は二発込められ、直ぐさま一つが発射された。
チュドーン
まるで素人に投げられた砲丸のように弾は直ぐに勢いを失って、下に転がった。
勢いを失った弾は色を失い、その場で、発射された時の色からまごうことのない鉄色へと変わって行った。
今、弾は全部で三つ転がっている。
同じような所に。
そもそも僕は意識であるのだから、視点などなく、ましてや喉から手も出ず、意識だけで存在出来る可能性?無いかもしれない。意識だけでは極めて薄く薄く拡散してしまって、視点は勿論無く、意識などない。おや、変な結論に陥ってしまった。
僕の意識は外側へと向かい、視界にはトラック、老婆、200%ピカチュウ。のみである